「でも、私…お父さんにそんな…一言も聞かされてない…」 「モニカ君。お父さんはだから残してくれたんじゃないか。死に際に残してくれ たんじゃないか。」 ……お父さん…。 「じゃあ…」 「そう。君の正式な名は、モニカ=チグリス=チェチック。」 私は…パリスの王女。 …なんか…実感が湧かない。 「…じゃあこの十字は…?」 「むう?それは…」 先生は再度分厚い本を開く。 今度は慎重に。 「あった…。なになに?」 先生はメガネをあげ、読み始めた。 「…手の甲に刻まれた…血の十字は…"blood-cut"の主張的な物。一般人がやられ ると即死するが、ある一定の人種の場合は命は助かる。だが、自分が食らった攻 撃はすべて… 血となりblood-cutの元にいく。……だって!?」 「…私は…生きているわよ」 私は、一般人じゃ…ない? 人じゃ…ないの? 「…じつはな、モニカ君。モニカ君の亡き母親、デミートリ王妃は…"天使"だっ たんだ。父は人間…」 「え!?」 お母さんが…天使!? 「その間に生まれた子供は…『堕天使』になるんだ」 「堕…天使?」 「…堕落した、天使…」 初耳。 いきなりいろいろ言われたって… こんがらがっちゃうよ… 「おっと、もう日も暮れた。今日は遅い、研究所にとまりなさい」 「いろいろ…ありがとうございます。先生。」 朝、窓からは朝日の光が差し込んでいる。 「…朝か。」 一階に降りると、椅子に腰掛けた先生がいた。 「おお、モニカ君。すまないが新聞をとってきてくれ」 「はーい」 先生に言われ、外にでた。 ポストに投函された新聞を取り、中に入ろうとすると、 「号外ー号外だよー!!デビス村の生存者の号外だよー!!」 デビス村…の生存者!? 私は早速号外をとり、読んだ。 …が、生存者の欄には、数名の名前しかなく、そこに家族の名前はなかった。 ……blood-cutのせいで私は… 「先生!!」 「なんだね?」 「私、blood-cutを成敗する!!」