第三話


「でも、私…お父さんにそんな…一言も聞かされてない…」
「モニカ君。お父さんはだから残してくれたんじゃないか。死に際に残してくれ
たんじゃないか。」

……お父さん…。

「じゃあ…」
「そう。君の正式な名は、モニカ=チグリス=チェチック。」

私は…パリスの王女。
…なんか…実感が湧かない。

「…じゃあこの十字は…?」
「むう?それは…」

先生は再度分厚い本を開く。
今度は慎重に。

「あった…。なになに?」

先生はメガネをあげ、読み始めた。

「…手の甲に刻まれた…血の十字は…"blood-cut"の主張的な物。一般人がやられ
ると即死するが、ある一定の人種の場合は命は助かる。だが、自分が食らった攻
撃はすべて… 血となりblood-cutの元にいく。……だって!?」
「…私は…生きているわよ」

私は、一般人じゃ…ない?
人じゃ…ないの?

「…じつはな、モニカ君。モニカ君の亡き母親、デミートリ王妃は…"天使"だっ
たんだ。父は人間…」
「え!?」

お母さんが…天使!?

「その間に生まれた子供は…『堕天使』になるんだ」
「堕…天使?」 

「…堕落した、天使…」

初耳。
いきなりいろいろ言われたって…
こんがらがっちゃうよ…

「おっと、もう日も暮れた。今日は遅い、研究所にとまりなさい」
「いろいろ…ありがとうございます。先生。」



 朝、窓からは朝日の光が差し込んでいる。

「…朝か。」

一階に降りると、椅子に腰掛けた先生がいた。

「おお、モニカ君。すまないが新聞をとってきてくれ」
「はーい」

先生に言われ、外にでた。
ポストに投函された新聞を取り、中に入ろうとすると、

「号外ー号外だよー!!デビス村の生存者の号外だよー!!」

デビス村…の生存者!?
私は早速号外をとり、読んだ。

…が、生存者の欄には、数名の名前しかなく、そこに家族の名前はなかった。
……blood-cutのせいで私は…


「先生!!」
「なんだね?」

「私、blood-cutを成敗する!!」