「…え?な、なにこれ…」 右手に刻まれた十字から、不思議な事に血が流れてこない。 ただ、もうひとつ。 「あれ?そんな腕輪つけてた?」 「腕輪?」 左の袖を捲ると、確かに金色に光る腕輪があった。 「…まさか…blood-cutが…!?」 「…え…!?」 「お客様にチェチック様。チェチック様いらっしゃられますか?」 「あ、私です」 ウエイトレスが電話機を渡している。 …誰からだろう…? 「はい、………あ、……はい…はい……はい……ええ!?…あ、はい…分かりました…」 受話器を置き、リリースが待つ席に戻る。 「なに?誰から?」 「…Dr.リトル先生からで…腕輪がつけられたか?…って。…で、今すぐ来いっ て…」 「え!?」 私は勘定を支払い、店を出た。 「リリース、Dr.リトル先生の研究所ってどこだっけ?」 「確かリオラ薬屋の隣」 私たちはDr.リトル先生の研究所に向かった。 Dr.リトル先生の研究所の前に、Dr.リトル先生はいた。 「おおー、待っていたよ、モニカ君、リリース。ささ、入りなさい」 Dr.リトル先生に言われ、私たちは研究所に入り、不器用な椅子に腰掛けた。 「…で、なんで先生がこの腕輪のことを…?」 「ああ、そのことだがな。これを見てみなさい」 そう言いながら先生は分厚い本を次々にめくっている。 「おお、あったあった。これだよ。」 先生が指した物は、一人の女性だった。 「…これは?」 「リオン=チグリス=チェチック王妃、百年前のパリスの王妃だ。」 「リオン=チグリス=チェチック…!?」 「ああ。モニカ君。君の御先祖様だ。」 私の…御先祖様…!? …え?じゃあ、私は、 「リトル先生!!じゃあモニカは…」 「ああ、列記としたパリスの王女だ。そしてその腕輪、"パリスの腕輪"は王女認 証の証だ。」 この…腕輪が…証…。 そして私が、パリスの王女? 私は…何も聞かされてない…