第一話


私の人生は、きっと。

運命が右手に刻まれた時から、

私の"自由"という人生に、

終止符が打たれたのだろう

… 堕 天 使 練 習 曲 …

「モニカ、モニカ!!」 …私を呼ぶ声がする。 「モニカ、起きてっ」 …おそらく、リリースの声。 「早く…早く、逃げるよ!!」 ……え!? リリースに急かされ、瞼を開くと、小屋の窓の外には赤い火が広がっていた。 感じる空気はややあつい。 「…何事!?」 「blood-cutが、デビス村に火を放ったのよ…ッ」 リリースと逃げ走りながら進む。 「blood-cut…?」 「説明は後っ」 blood-cut…。 直訳すれば、『血の削減』…か。 リリースと一緒に走り、デビス村の隣街であるカンタリヌに向かった。 カンタリヌは、いつもの平凡な風景が広がっていた。 「…とりあえず、いろいろ説明するわ。珈琲店に向かいましょう」 リリースに連れられ、向かった先は珈琲店。 店内に入り、店員に指示された席につく。 「…で、blood-cut…って?」 「blood-cut、直訳で血の削減。巷では『緋色の悪魔』といわれているわ」 「『緋色の悪魔』?」 ウエイトレスが運んできた珈琲を一口。 その珈琲はすこし苦かった。 「ええ。――彼らは、世界中の人々がもつ"光魂"…所謂命を抜き取って、自分た ちの主にかがけているのよ」 「そんな……なんのために!?」 「しらないわ。だけど、…世界を自分の所有物にしようとしてるのは確かね」 リリースは珈琲を一杯のみ、私に角砂糖を一つくれた。 ……そんなに、苦そうな顔をしていたのかな…? 「ありがとう」 私はその角砂糖を早速珈琲にいれた。 「…あら?」 「?」 リリースが私の右手を見ていった。 「…それ、どうしたの…?」 「それ…?」 私は自分の右手を見ると、 そこには、十字に切り刻まれたような後があった。 ………それは、緋色に染まっていた。